うさぎさんの換毛
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こんにちは、獣医師の川上です。
暑さも少し和らいで秋っぽくなってきましたね。
私たち人間には食欲の秋・スポーツの秋・読書の秋etc…とありますが、うさぎさんは【換毛の秋】です。
そもそも換毛とは、季節に合わせて毛が生え変わる現象を指します。
特に寒暖差の激しい生息地に生息する野生動物においては、夏季の短いさらさらした被毛⇄冬季の長くふわふわした被毛の生え変わりにより体温を調節している種がいます。
野生のうさぎにも季節によって質の異なる被毛へ換毛し、色や見た目が大きく変化する種類がいます。夏は茶色で短い毛のすっきりしたフォルムで、冬は真っ白の毛足の長いふわふわの野うさぎを、テレビやインターネット等で見たことはありませんか?
飼育下のうさぎさんも大多数は春と秋に換毛します。しかし野うさぎと異なり、大きく色が変わることは滅多にありません。
また、野うさぎは野外で暮らしているため温度の変化に合わせて換毛が始まりますが、現代の愛玩うさぎは一年を通して温度や湿度が一定に管理された室内で暮らしているため、季節の変化に合わせた温度変化を身体で感じ取ることがあまりありません。
その影響か、近年では春・秋だけでなく年中換毛を繰り返したり、季節に関係なく換毛したりする個体が見られます。
これは病気でなく、室内で暮らすうさぎの持つ可能性のある体質と言ってもよいでしょう。
しかし、ここで問題になってくるのがうさぎの〖毛球症〗です。
毛づくろいで体を舐めた際に抜けた毛を飲み込み、それが胃や腸の内部で押し固まったものを毛球といいます。できあがった毛球により胃腸の動きが低下することを毛球症といいます。
軽症であれば投薬治療で回復するケースが多いですが、毛球の大きさや硬さ・発生した場所によっては消化管の機能低下にとどまらず組織の壊死を起こすこともあり、時としてうさぎの命を奪うこともある疾患です。
特に毛づくろいをよくするうさぎさんに関しては、この毛球症は換毛の度にリスクを負うこととなります。
ですが適切な食餌やグルーミングなどによって抜け毛の処理を正しく行うことにより、毛球症に罹患するリスクを大幅に下げることができます。
当院でも、換毛の度に消化器の不調に悩まされていたうさぎさんが飼い主さんの日常ケアによって健康に過ごせるようになったケースが多くいます。
また、年中換毛する子や長毛腫のうさぎさんに関しても、飼い主さんが正しくグルーミングを行うことで一緒に生活しやすくなったというお話も聞きます。
↑グルーミングにより毛の段差が出来たうさぎ
『換毛期に特にうさぎさんの不調が多い』
『換毛が多くて悩んでいる』
『毛球症の予防法について知りたい』
等、ございましたらご相談下さい。