ウサギさんの症例集 No007 盲腸うっ滞(キャロルちゃん)
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家族の皆さんから たっぷり愛情をうけているキャロルちゃんのお話です。
ネザーランドのキャロルちゃんは毛づくろいを一日中するので、毛球による胃腸のうっ滞を繰り返していました。
しかし、7歳のバースディ前の6月から いつもとは違う状態になりました。
2024/6/21
急に便が小粒で数も減り、食欲も半減した為、来院されました。
体重:780g 体温:36.9℃(正常:38.0~39.5℃)まで低下し、胃腸内に大きな毛球と思われる塊が確認されました。
更に、盲腸内のガス貯留も起きている為、入院となりました。
飼い主様より
2024/6/30
体温が正常に戻り、食欲も戻ってきた為、一時退院となりました。
自宅での輸液のやり方を習い、ネッカーをつけて、これ以上胃に毛球が溜まらない対策をとりました。
体重が 780g から 680g まで減った為、栄養剤と薬の投与を行うよう指示をうけての退院でした。
2024/7/7
鼻汁がひどい為、検査を行いました。
結果は緑膿菌が検出されました。
この菌に対し著効する抗生剤が無いため、治るまで時間がかかるとのこと。
さらに、黒い軟便もはじまり、盲腸の炎症や腸内細菌のバランスが崩れているのが原因と伝えられました。
以後、通院となりました。
2024/7/22~8/7
ちょっと元気になり、食欲も出てきて希望の光がみえてきていました。
体重も退院時の 680g から 700g まで増えてきたため、このまま元気になるのでは。。。と期待しました。
2024/8/8
数日前より便が小さくなり、牧草も食べなくなった為受診。
鼻汁とくしゃみがひどい為、抗生剤を試しに飲ませる事になりました。
血液検査の結果から Ca(カルシウム)が高いため、Caの無い水や、低Caのセロリをあげてみましたが、Caの無い水はキャロルは飲んでくれませんでした。
流動食を溶かして投与しました。
2024/8/9
少量の野菜以外は食べず、ケージの隅でじっとしているようになりました。
体重も 660g へと逆戻りです。
食事量も少ないため、1日7回~8回 流動食を与えました。
便がドロドロの軟便となり、毛球が盲腸内にあるため、盲腸の運動が低下し、盲腸うっ滞をおこしているとのことでした。
ネット検索をして、キャロルのような病状の子のブログを見つけました。
「バイオラピスというサプリメントを飲むと、盲腸の状態が良くなる」とあったため、先生の許可を頂いて与えはじめました。
ウサギ専用のサプリメントで、欧州食品安全機構の承認を得たものでした。
与え始めると、下痢便が改善されました。
2024/8/14
〈抗生剤が効いて 鼻汁がとまる!〉
キャロルは、流動食のみで何とか生きている状態だったので、奇跡としか言いようがありませんでした。
2024/8/16
流動食を1日11回に増やしました。
もう、キャロルも私も限界です。
「いつまでこの状態が続くのか?」とか、「こうして徐々に弱ってキャロルは死んでしまうのか」とも思ったりしました。
ただ、後になって こうすればよかったと後悔だけはしたくない その一心でした。
この時までが、一番辛い時期でした。
2024/8/17~8/21
快復基調に!!
毛球を含んだ泥団子状の多量の便が出て、キャロルが牧草を食べだし、元気が出てきました。
数日後にはペレットも食べれるようになり、食事量も増えてきました。
2024/8/22
〈7歳の誕生日おめでとう!!〉
この日が迎えられたことに感無量です。
家族全員が揃ってお誕生日をお祝いし、キャロルを抱いて家族写真を撮りました。
この日から、不思議と異常便も出ず、体重も増加していきました。
2024/8/29~9/13
〈さらなる快復へ〉
ケージの扉を前足で連打(通称:キャロパンチ)し、出して!と催促するではありませんか
ケージから出すと元気に走り回って部屋んぽをするキャロルに思わず涙がでました。
「こんなことが出来るようになったの!」という私の絶叫が家中に響いてました。
それから、日を追うごとに流動食と点滴も減っていきました。
2024/9/14
〈治療はこの日が最後〉
キャロルが元気になって療養生活終了です。
体重は、9月後半には 750g前後になりました。
首のネッカーはつけたままですが、このネッカーの効果で、うっ滞の受診がなくなりました。
病気を通して、キャロルと家族の絆が一段と深くなりました。
2024/6/21から入院・通院治療の間、常に親身になり的確な治療をなさった院長先生には感謝しかございません。
来院する度、声をかけて励ましてくださったスタッフの皆様にも御礼申し上げます。
獣医師より
《盲腸うっ滞とは?》
毛球や腸炎、胃のうっ滞の関連に発生する盲腸の病気です。
盲腸の内容物が停留し、胃腸の蠕動運動に障害が発生し、盲腸内に粘液が充満したり、ガスの産生を併発することもあります。
《バイオラピス》
ウサギ専用の腸内細菌サプリメントです。
最近、インターネットで購入できるようになりました。
投与量が多いことや、値段がちょっと高いという難点はありますが、腸内細菌の改善に効果があります。