ウサギさん症例集 No006 食欲不振が7日間続いていたもかちゃん。 胃腸の病気だけではなく、実は肝臓、腎臓に異常があったため食欲不振が治らなかった子
- うさぎ
- 胃
- 食欲不振
- 肝臓
- 腎臓
2024年 10/5 夜
我が家の6歳ミニロップイヤーのもかは、日中はいつも通りでしたが、夜になると食欲がなく、水も飲まず、排泄もなくなり、お腹が痛い様子でケージでうずくまり動かなくなりました。今までにも数回同じようなことがありました。
10/6
午前中は少量の牧草やペレットを食べ、水も飲み、尿と便も出ていましたが、午後からまたうずくまっていたため、かかりつけの病院を受診し、点滴、痛み止めと腸の動きを良くする注射、薬で経過をみることになりました。
10/12 午前中
約1週間、数回通院して点滴や注射で経過をみましたが、一向に良くならなかったので、ウサギの診察をしている可愛動物病院のHPを見て問い合わせをしました。「すぐに来てください」と言っていただいたので午前中に伺い、今までの経過や症状を先生にお話すると、まずは必要な検査をすることになりました。
10/12 夜
検査結果を伺いに通院。経験豊富な先生なので説明も画像やデータでわかりやすく、治療方針も明解で、3日間入院して経過をみることになりました。
胃に問題があり、肝臓や腎臓の数値もかなり悪く、とても深刻な状態であると伝えられまし
た。どの程度回復できるのか、不安と心配で頭が真っ白になりましたが、もかの生命力を信じて、ただ祈るばかりでした。
直腸温:39.1℃ 体重:1.96kg
血液検査
造影検査
一部盲腸到達したが、胃内に造影剤が残っている
10/14 夜
経過や検査結果を伺い、肝臓の数値はまだ高いものの、腎臓の数値は改善され、エコー検査により肝臓、腎臓に大きな異常がなかったことから、一時退院して経過をみることになり、薬や流動食の与え方、輸液の方法を教わり帰宅しました。
帰宅したもかは、やわらかい牧草を食べ、先生方から、もかは薬や流動食が苦手だと伺っていたので、家族で役割を決めて残さず与えられるよう対応しました。
食事や排泄も徐々に回復して、検査で悪かった数値も数日で劇的に改善し、もかの生命力の強さを感じて本当に驚きました。
体重:1.87kg
血液検査
超音波検査
肝臓、腎臓に大きな異常ありません
10/15 夕方
大好きなキャベツを完食し、牧草や少量のペレットも食べるようになりましたが、尿量が少なく、便も小さく軟便でした。
水もあまり飲めず、昨夜の流動食の量も足りていないこともあり受診しました。まだ輸液を続ける必要があり、回復には流動食で栄養と水分をしっかり取ることがとても大切だと伺いました。
輸液のために毎日通院し、薬や流動食も残さず与えられれば、自宅での経過観察も可能でしたが、家族で話し合い、輸液や薬と流動食を継続できる再入院を選択しました。
一時帰宅後のもかは、水も飲めるようになり、尿量も増え、輸液の大切さを改めて痛感しました。
10/16 午前
牧草やキャベツ、ペレットも少量食べ、水も飲み、排泄も少し改善しましたが、やはり流動食の量が足りなかったので4日間の再入院をお願いしました。
体重:1.83kg
10/17、18 午後
面会時、夢中でキャベツを食べるもかの姿を見ることができました。キャベツは完食し、柔らかい牧草やペレットは好まないのか、1番刈りの牧草と普通のペレットを少し食べたと伺いました。だいぶ慣れたのかリラックスした姿も見られ、少し安心しました。
10/19 夜
なんと、検査の数値も更に改善して輸液や薬、流動食も必要ない状態まで回復しました。定期的な検査と経過観察の通院は必要ですが、ようやく退院できました。深刻な状態から回復でき、飼い主にも温かく寄り添ってくださった先生やスタッフの皆さんには感謝しかありません。
体重:1.88kg 体温:38.5℃
血液検査
血液検査の推移
10/20 夜
自宅で経過観察をしようと思った矢先、今度は泥状の下痢症状があり受診しました。検査の結果、原因は毛球及び、腸内の細菌バランスが崩れていたため、腸の薬を1週間服用して経過を見ることになりました。退院直後のお腹の不調で、まだまだ心配は尽きません。
10/21~26
食欲も徐々に戻り、1番刈りの牧草、ペレット、キャベツもいつもと同じくらい食べられるように!水分も取れて尿量も増え、便も徐々に良い状態に戻ってきました。薬もしっかり飲み、日に日に体調も安定し、夢中で食べる姿や瞬く間になくなる牧草に驚くばかりでした。
10/27 夜
食事や排泄の状態も回復し、今度こそ完治!ということで、一連の通院は終了しました。先生から色々とお話を伺うこともでき、今後のお世話に活かしたいと思います。今回のことで、体調がおかしくなってから受診するだけでなく、日頃から体調気を配り、健康診断などで体の状態を把握して、状態が酷くなる前に対処することが大切だと痛感しました。また、今回のような入院や通院を経験して、ペット保険の必要性も改めて感じました。診察の際、毎回温かくもかに声を掛けてくださる先生の姿がとても印象深く、ウサギや飼い主に寄り添ってくださったスタッフの皆さんにも心より感謝申し上げます。
今までの不調が全てリセットされたかのような食欲旺盛で元気いっぱいの状態を守れるよう、体調の変化にも気を配りながら日々お世話をしていきたいと思います。目指せ14歳!
獣医師より
病院にかかっていても、なかなか良くならないケースがあると思います。特に転院される時は、今までの経過や今飲んでいる薬の内容、今まで行った検査結果についてお話いただきます。すべてのことを考慮し、必要な検査やまだ行っていない検査を行うこともあり、初期費用が少しかさむことがありますが、原因をはっきりさせることが早期の改善につながります。もかちゃんのケースも胃腸の病気だけでなく肝臓、腎臓の機能低下を初回の検査で見つけることができました。そして完治して今元気一杯です。もかちゃん目指せ14才!(人間の100才ぐらい相当)