症例紹介

今回は急性のアレルギー反応（アナフィラキシー）についてお話ししたいと思います。

アナフィラキシーとは、外から摂取または侵入した原因物質に体が激しく反応し、全身的に過剰なアレルギー反応が起こった状態です。犬や猫で代表的なものにはワクチンによるものですが、それ以外にも食べ物、薬物、昆虫などもあげられます。また実際の現場では、原因が分からないことも多々あります。アナフィラキシーは重篤化すると死に至ることもあるので大変危険です。

症状としては皮膚、消化器および呼吸器など全身に様々な問題を起こします。以下に代表的なものを列挙します。

顔面の腫脹

蕁麻疹

呼吸困難

下痢や嘔吐

治療としては、ステロイドや抗ヒスタミン剤が一般的で、より状態が悪い時には静脈点滴や酸素吸入、気管挿管が必要になる動物もいます。

最近、典型的な顔の腫脹があったわんちゃんがいたのでご紹介します。

（来院時、顔面、特に頬の腫れを認める）

このわんちゃんは、自宅で急に顔が腫れてきたとのことで当院に来院されました。

お話をする限り、明らかな原因物質は特定出来ませんでした。顔面の腫脹以外は安定していたので、ステロイド、抗ヒスタミンのお注射にて治療を行い、翌日には腫れも引いて元気になってくれました！

（投薬後の元に戻った状態）

このような急性のアレルギー疾患は放っておくと重篤になるケースもあるので、発見した時点でなるべく早く病院に連れてくるのがコツです。

決して病院でよく遭遇する病気ではないですが、珍しいとも言えない病気です。もしも疑うような症状がありましたらすぐに病院にお連れ下さい。

獣医師　松尾