意外と侮れない!犬の下痢
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獣医師の上田です。
今回は犬の下痢について解説します。たかが下痢と侮ってはいけません。
原因
下痢の原因は様々で、単純に食べすぎたり、普段と違うものを食べたりした場合や、ストレスなど精神的なものによることも多いですが、寄生虫やウイルス、悪性腫瘍、慢性腸症など命にかかわる疾患が関与している場合もあります。
診断
下痢の状態や、わんちゃんの一般状態(食欲や元気)により、勧める検査は変わってきますが、下痢の場合には以下のような検査が有効です。
糞便検査
下痢の原因となる寄生虫や細菌がいないかを顕微鏡で調べます。
便を持参していただけると検査がスムーズです。
血液検査
下痢により元気や食欲が落ちていたり、下痢の症状が長引いたりしている場合には血液検査を検討します。栄養状態・脱水症状の確認や内臓の数値を調べます。
レントゲン検査
消化管内に異物がないかや、消化管以外の異常がないかを確認します。
超音波検査
上記の検査までで明らかな原因が分からない場合、またその逆に明らかな異常が認められる場合には、その詳細を確認するため、腹部の超音波検査を実施します。
治療
検査にて、下痢の原因となる疾患を認めた場合には、それぞれの疾患に対する治療をしていきます。
ストレスや食べ過ぎなど、検査では異常が出なかった(原因不明の)下痢の場合には以下のような治療を実施します。
注射
下痢止めの薬を注射することがあります。
皮下点滴
下痢の場合、普段よりも多くの水分が排泄されるため、脱水症状を起こしやすいので、脱水症状を疑う場合には皮下点滴で水分やミネラルを補給します。
飲み薬
注射と同様、下痢止めの成分の薬や整腸剤、抗生物
質などを処方します。
まとめ
犬の下痢にはさまざまな種類があるため、一概にこの治療をすればOKというものはありません。場合によっては命にかかわる病気の可能性もあるため、愛犬が下痢をした場合には、あまり様子を見過ぎず、一度病院に受診していただくことをおすすめします。
下痢の種類
軟便(形はあるが、地面にべたっと付くもの)
粘膜便(便の周囲にゼリー状の物質が付着)
泥状便(形がなく泥状になっている便)