ウサギの肝葉捻転
- 可愛のオペ室
※手術中や臓器の写真を掲載しております。苦手な方は閲覧をお控えください。
症例
今回紹介するのは、朝から急に食欲廃絶、排便低下を主訴に来院されたウサギさんで、1歳4か月の男の子です。
X線検査では胃腸の疾患を疑う所見は認められませんでしたが、血液検査では、軽度の貧血および血小板(出血を止めてくれる成分)の減少、肝数値の顕著な上昇を認めました。
超音波検査では、肝臓の周囲に腹水(お腹の中に水分が溜まること)、肝臓の一部の血流が途絶えていました。また、腹水を採取したところ、血様の体液であったため、腹腔内での出血が疑われました。
ここまでの検査結果より、急性肝葉捻転と診断しました。



本症例では、腹腔内での出血が疑われたため、早急な手術による治療介入が求められました。診察当日に肝臓内側右葉切除術を緊急手術として実施しました。
手術中、腹腔内では血様の漿液がみられ、罹患肝葉は暗赤色に変色(写真)していました。


手術は無事終了し、5日間の入院を経て退院となりました。術後は、食欲の低下や腹水の貯留は認められず、明らかな合併症は認めませんでした。
肝葉捻転
肝葉捻転とは、肝臓の一部がねじれて血流が阻害され、肝臓の一部が壊死してしまう疾患です。比較的若齢のウサギに多くみられ、急性の経過をたどり亡くなってしまう子もいる疾患です。
第一選択の治療法は外科手術による罹患肝葉の切除ですが、侵襲性のかなり高い手術となり、またウサギさんの状態が悪い場合、全身麻酔のリスクも高くなります。
肝葉捻転は、命にかかわる可能性の高い疾患で、治療にもかなりのリスクが伴いますが、治療が成功すれば劇的に症状の改善が期待できます。

