犬の偽胎盤形成性子宮内膜過形成について
- 血尿
- 陰部からの出血
- 食欲不振
- 子宮内膜過形成
こんにちは。獣医師の鈴木です。
今回は当院で診察したワンちゃんの子宮卵巣疾患について説明いたします。
13歳の女の子で、元気食欲の低下、陰部からの出血や分泌物が認められたため、当院を受診されました。
腹部の超音波検査では子宮の腫大を認め、子宮蓄膿症などの子宮疾患の可能性が考えられました。血液検査などの検査を踏まえ、子宮卵巣摘出術を行いました。
手術時には、左右あるうちの特に右側の子宮が顕著に腫大していました。摘出後に腫れている子宮の内部を確認したところ、血液様の液体で満たされていました。無事に手術も終わり、退院後も通院しながら様子をみていました。摘出した子宮卵巣は病理組織学的検査へ、子宮内容液を培養検査に提出しました。
子宮内容液には細菌などは認めず、病理組織学的検査の結果から偽胎盤形成性子宮内膜過形成と診断されました。
偽胎盤形成性子宮内膜過形成とは子宮内膜過形成の1つであり、子宮内膜に妊娠していないにも関わらず胎盤が形成されます。ワンちゃんでの発生はごく稀であり、ある報告では女の子のワンちゃん662頭に対し、6頭で認めた(約0.9%)と言われており、かなり稀な病態であると思われます。この報告では、異物や胚、細菌などの影響で発生する可能性を指摘していました。
こういった珍しい疾患を診る機会があると、まだまだ学ぶことがあり、これからも知識を深めていきたいと思いました。
実際の子宮の様子


