症例紹介

うさぎの症例集 No 009 股関節脱臼

うさぎの症例集 No 009 股関節脱臼

 

今回は股関節を脱臼してしまったうさぎさんのお話になります。

 

抱っこしていた際に飛び降りてしまい、そこから歩き方の様子に異変があり、受傷後すぐに来院されました。

触診をすると、股関節の脱臼が疑われ、レントゲン検査を行い、股関節の脱臼を認めました。幸いにも、骨折などはなく、腹部臓器の損傷なども認めませんでした。

 

☆受診時のレントゲン検査

 

 

◯治療法について

外傷性股関節脱臼の治療として、わんちゃんねこちゃんでは受傷後3日以内であれば非観血的整復が行われます。この方法では全身麻酔を行い、脱臼した股関節を元に戻します。その後、包帯固定を行い、運動制限行います。

受傷後数日経過している場合や、脱臼を繰り返している場合は、外科的治療となることが多いです。方法としては様々な報告がされており、関節包再建術や救済的治療として大腿骨頭切除術が報告されています。

うさぎさんではわんちゃんの治療に則って行われますが、骨の強度が非常に弱く、外科的治療の時の骨の耐久性や、非観血的整復もわんちゃんに比べると難しいと言われています。また皮膚も包帯などで擦れてしまったり、包帯やカラーをつけることによるストレスでご飯を食べなくなってしまうこともあります。麻酔リスクや合併症などの観点から、無理に治療を行わない保存療法が選択されることもあります。

 

とある海外の報告では9羽の外傷性股関節脱臼のウサギさんにおいて、5羽が非観血的整復、包帯固定を行い、そのうちの2羽が成功しましたが、3羽は再度脱臼してしまい手術を行なったと報告されています。手術は大腿骨頭切除術、関節包再建術(iliofemoral suture)を行いましたが、関節包再建術の方が、成績がよかったとしています。一方で、違う報告では非観血的整復と運動制限のみで良い治療成績が得られたとしているものもあり、明確な治療法が定まっていないのが現状です。

 

◯経過

ご相談の上、麻酔下で非観血的整復を行うことになりました。まずはレントゲン検査や血液検査で麻酔のリスクを評価し、問題ないことを確認しました。

幸いにも、二次的な損傷もなく、整復することができました。

 

☆脱臼整復直後のレントゲン検査

 

包帯固定はせず、厳密な運動制限を行なっていきました。数日は入院下で、ケージの半分程度の広さで生活していただき、消炎鎮痛剤も服用しました。数日で退院し、消炎鎮痛剤を休薬し、徐々に元の生活の広さに戻していき、受傷後1ヶ月で完全に元の生活に戻りました。

 

☆受傷後1ヵ月のレントゲン検査

 

 

ご家族の皆様には、こまめに通院していただき、本人も運動制限で不自由な生活をよく頑張っていただきました。

 

◯まとめ

今回は股関節脱臼の経過について紹介させていただきました。うさぎさんは骨の強度が弱いため脱臼だけではなく、骨折も起きやすいので、今回のように抱っこなど、日常生活で事故が起きることがあります。

特に段差やイスの上などのぼってしまう子は注意が必要です。人にとっても小さな段差でも、うさぎさんにとっては自分の背丈くらいの段差になってしまいます。

安全に暮らせるように環境にも注意してあげてください。

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