猫の消化器型リンパ腫
- 猫
今日は猫の消化器型リンパ腫について説明します。
リンパ腫といのは血液の細胞であるリンパ球ががん化したもので、胃腸に発生したリンパ腫が消化器型リンパ腫です。
主に中~高齢の猫ちゃんに発生することが多く、症状としては嘔吐や下痢、便秘、食欲不振がみられます。多くの場合、診断には超音波検査や細胞診が必要です。
治療法は抗がん剤が選択されることが多く、手術が検討に入る場合もあります。
病院であった猫ちゃんを紹介します。
10歳 避妊済み猫
元気はあるが、食欲不振が一週間続き、下痢や平たい便が出るとのことでした。
身体検査で、下腹部にしこりを発見したので超音波検査を行いました。
以下が正常な大腸とこの猫ちゃんの大腸の写真です。大腸の一部がとても腫れていたため、オーナーと相談の上、細胞診検査を行いました。低分化型リンパ腫と診断されました。
正常な大腸 患者の大腸





治療法について相談した結果、抗がん剤による治療を開始しました。
今回はUW-25という、数種類の抗がん剤を併用する方法を選択しました。
抗がん剤開始後4週目の写真です。癌がほぼ消失しています。猫ちゃんの食欲も出てきて、排便も正常になっていました。

しかしこの後がんが再発し、治療を開始して約3か月で残念ながら亡くなりました。
一般に消化管で低分化型リンパ腫と診断された場合、抗がん剤を使用したとしても生存中央値は約2~3ヵ月と記載されています。決して長い期間ではないのが実際です。ただし、再発せずに元気にしている猫ちゃんもいます。どのような治療法を選択するかは主治医とよく相談し、メリットデメリットを踏まえて検討してもらえると良いと思います。


